ポップ音楽ファンとしての個人的な歴史を100曲で振り返るシリーズPart.1

季節的に卒業や入学、別れや出会いとなっていてなんとなく節目的なことがやりたくなってきたので、唐突に個人的なポップ音楽ファンとしての歴史を100曲で振り返ってみたい。という訳で、これから私の個人的なポップ音楽ファンとしての歴史上、重要と思える曲をリリース順ではなく、個人的に好きになった順に挙げながら、毒にも薬にもならないコメントなども付け加えていければ幸いである。それで、おそらく5回に分けてやるうちの今回が第1回で、20曲を取り上げていきたい。

1. ファンタジー/岩崎宏美 (1976)

この時代の岩崎宏美といえば一般的に「センチメンタル」が代表曲なのだが、個人的には断然、「ファンタジー」の方が印象が強いし好きである。この頃、私は小学生で北海道の苫前町というところに住んでいたのだが、家の近所の書店のラジオか何かでこの曲が流れていて、あー良い曲だな、と感じたのであった。それは生まれて初めての経験であった。当時から筒美京平メロディーに反応していたということか。歌詞に「地下鉄」という単語が出てくるが、この頃はまだ見たことがない。そこに都会を感じていた。当時の私にとって、この曲はシティ・ポップとして機能していたのかもしれない。どこか切なげな雰囲気も良かった。当時、岩崎宏美はアイドル歌手という位置づけだったかもしれないが、曲の良さと歌の上手さでは突出していたようにも思える。私の楽曲派アイドル好きとしてのルーツであるようにも思えるし、ビクターから発売されていたというところにもいろいろ感慨深いものがある。

2. 哀愁トゥナイト/桑名正博 (1977)

1977年の春に旭川に引っ越し、ラジオでプロ野球中継を聴くようになった。その流れでずっとラジオを聴き続け、深夜放送にもハマっていくのであった。その頃にラジオでよくかかっていて良いな、と感じていた曲。当時はクレジットなど意識していなかったのだが、後にこれも筒美京平の曲だったのだなと知る。

3. 東京ららばい/中原理恵 (1978)

都会の孤独のようなものが歌われている曲だが、これがとてもカッコよく思え、都会への憧れをより掻き立てたのであった。そして、後に知ることではあるのだが、これも作曲が筒美京平である(作詞は「哀愁トゥナイト」と同じく松本隆)。

4. 横浜いれぶん/木之内みどり (1978)

「刑事犬カール」「野球狂の詩」などでの女優としても好きだったのだが、アイドル歌手ではあるのだがどこか翳りを感じさせるところにたまらない魅力を感じていた。そして、アイドルとして人気がある状態にもかかわらず恋の逃避行というスキャンダルに対しても好感しかいだかなかった。そして、いま思うに声もとても素敵だったのである。90年代に夫の竹中直人とプライベートで買物しているところに遭遇し、かなり感激したことを覚えている。

5. Mr.サマータイム/サーカス (1978)

1978年の夏といえばこの曲と矢沢永吉「時間よ止まれ」の印象がひじょうに強い。やはり大人っぽくて都会的な曲で、当時からこういうのがなんとなく好きだったな、ということが思い出されるのである。

6. 真夜中のドア~Stay With Me/松原みき (1979)

いまやジャパニーズ・シティ・ポップのシグネチャー的な楽曲として、すっかり有名になった曲でもある。当時からラジオではよくかかっていたし、その都会的なセンスは広く共有されていたように思える。それにしても、曲もサウンドも歌もすべて良い。作曲はこれ以降も、シティ・ポップ的な流行歌を量産していく林哲司である。

7. COPY/プラスチックス (1979)

ヒカシュー、P-MODELと共にテクノ御三家などとも呼ばれていた、日本のテクノポップバンドの、これはイギリスでのデビュー・シングルでもあった。ピコピコサウンドなどとも呼ばれた、シンセサイザーを用いたポップスであり、批評的な歌詞やユニークなファッション、メンバー全員がバンドの他にクリエイターとしての仕事を持っている点など、すべてがたまらなくカッコよかった。

8. Coming Up/Paul McCartney (1980)

来日公演が予定されていたのだが、大麻所持によって成田空港で逮捕されたポール・マッカートニー、その後にリリースされたシングルである。中学2年にもなったし、そろそろ洋楽のレコードも買った方が良いのかもしれないと思っていた頃にヒットしていて、ラジオでよくかかっていた曲。ニュー・ウェイヴみたいで単純にカッコよかったので、旭川のレコードも置いている時計店で買った。記念すべき初めて買った洋楽のレコードがこれ。

9. Honesty/Billy Joel (1978)

ビリー・ジョエルは1978年の夏に「ストレンジャー」が日本で大ヒットしたので知っていたのだが、NHK-FMの「軽音楽をあなたに」でいくつかの曲がかかるのを聴いて、レコードを買うことを決意した。しかも、最新作の「グラス・ハウス」ではなく、知っている曲がいくつか入っている前作「ニューヨーク52番街」というところに、私らしさが出ているともいえる。親しみやすいメロディーとニューヨークのイメージが日本の音楽ファンにひじょうに受けていて、洋楽の入門に聴く人もわりと多かったのではないかと思う。

10. RIDE ON TIME/山下達郎 (1980)

本人が出演するカセットテープのCMで初めて知った。これは他の日本のポップ・ミュージックとは違う、とてもカッコいい音楽だと感じた。

11. ユー・メイ・ドリーム/シーナ&ロケッツ (1979)

1979年に発売されていたのだが、翌年の夏におそらく航空会社のCMの影響でヒットした。細野晴臣がかかわっていてアルファレコードだったことから、テクノ/ニュー・ウェイヴの文脈で受け入れられていたような気がする。この曲にも当時のオールディーズ・リバイバル的な気分が反映していたのかもしれない。夏期講習の昼食代を節約して、この曲のシングルを買った記憶がある。

12. Kiss On Mylist/Daryl Hall & John Oates (1980)

全米ヒットチャートをチェックしはじめた頃に1位になっていて、素直にとても良いなと心から強く感じた曲。MTV、第2次ブリティッシュ・インベイジョン、マイケル・ジャクソン「スリラー」などが影響をあたえる以前、80年代はじめの全米ヒットチャートにおける失われたイノセンスを感じさせる、これぞピュアポップといえる楽曲。

13. NIGHT LIFE/佐野元春 (1981)

NHK-FM「軽音楽をあなたに」で聴いて、すぐに気に入った。これこそが探していた音楽だと思えたのだが、ロックンロールのスピリッツをこの時代の日本流に翻訳したかのような素晴らしい楽曲よりも、都会の夜のきらびやかさを描いたこの曲に心奪われた。当時の私にとって、佐野元春もまたシティ・ポップとして機能していたところがあったように思える。

14. Start Me Up/The Rolling Stones (1981)

REOスピードワゴンやジャーニーといった産業ロック全盛でそういうのを好んで聴いていたこともあり、当初はローリング・ストーンズ「刺青の男」が渋すぎるようにも感じられ、よく分からなかったのだが、聴けば聴くほどだんだん良くなり、これぞロックンロールの真髄だと思うようになった。

15. 君は天然色/大滝詠一 (1981)

1981年3月21日のリリースから約1年後にやっと買ったのだが、素晴らしいポップ・ミュージックだと感じた。そこには、大人の世界への憧れも含まれていたが、それがほとんど庶民にとってはフィクションのようなものだということにも、薄々気づいてはいたのだろうか。高校の入学祝いに買ってもらったシステムコンポのスピーカーから、最初に聴こえることを選んだ曲でもある。

16. Good Vibrations/The Beach Boys (1966)

ファンクラブに入っていた早見優がハワイにいた頃によく聴いていたということで、旭川のミュージック国原でベスト・アルバムを買ったのだが、ものの見事にハマってしまった。高校の同級生達と行ったキャンプでも大好評、なんて楽しくて美しい音楽なのだろうと感じたり、それ以来ずっと大好きである。

17. I Keep Forgettin’ (Every Time You’re Near)/Michael McDonald (1982)

オリコンに載っていた東京の輸入盤専門店のチャートで一時期、1位だったのではないかと思う。「ミュージック・マガジン」の中村とうようが嫌いそうな、いかにもなAORサウンドなのだが、これも都会的でとても良いなと感じていた。

18. Steppin’ Out/Joe Jackson (1982)

1982年の秋に開局したFM北海道の番組でかかって、これはかなりカッコいいぞと感じたのであった。夜の街に繰り出すわくわく感が、洒脱なサウンドとボーカルによって、かなり正確に表現されているように思える。

19. I.G.Y./Donald Fagen (1982)

冬休みに遊びに行った札幌のタワーレコードで買ったうちの1枚が、ドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ」。音がとても良いともいわれていたような気がする。実に渋い音楽ではあるのだが、そこがまた背伸び感覚をくすぐりもした。

20. Do You Really Want To Hurt Me/Culture Club (1982)

1981年に開局したMTVでは、早くから映像に力を入れたイギリスの新感覚のアーティスト達によるビデオがよくかかっていて、それがヒットチャートにも影響をあたえたといわれる。カルチャー・クラブは確かにビジュアル面でひじょうに強いインパクトを残すバンドではあるのだが、楽曲のクオリティーもひじょうに高い。「君は完璧さ」という邦題がついたこの曲においても、それは十分に感じられる。

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