アマが選ぶ最強のJ-POPベスト30曲

「関ジャム 完全燃SHOW」というテレビ番組で「プロが選ぶ最強のJ-POP30曲」という企画をやったらしく、Twitterのタイムライン上で結構話題になっていたようだ。個人的にこういうランキングものはかなり好きであり、四六時中そんなことばかり(というのはもちろん言いすぎだが)考えているといっても過言ではない(実際には過言だが)。とにかくこんなのなんぼあっても良いですからね、という気持ちでいっぱいなのだが、基本的に他人が作っているものなので、個人的に共感できるところやできないところや、知らなかったことやうんざりしている部分も含め楽しめるスタンスであり、今回のもランキングの結果だけみたが、概ね納得という感じであった。

それはそうとして、こんなのなんぼあっても良いですからね、という訳なのでいろいろな人達がインスパイアされてやっているのがタイムラインで見られて、なかなか楽しかった。それで、時間がある時にボクもやるぞ!と意気込んでいたのだが、金曜日の帰りの電車の中で作ったランキングをこれから発表していきたい。

ちなみになのだが、「関ジャム 完全燃SHOW」のやつは「プロが選ぶ」ということだったので、これからやるやつは「アマが選ぶ」という訳である。それならば、世間一般的な評価だとか時代の空気感を象徴しているかいないかとかシーンに影響をあたえたかとか、そういうのは完全に度外視して、2000年から2020年までの20年間に発表された日本のポップ・ミュージックの中から、単純に自分自身が個人的な趣味や嗜好も含め、これは名曲でっせ旦那はんと心から思えるものだけをセレクトした。例によって、20年ぐらい前のパスタ屋のシェフ並みに気まぐれな感覚でやっているため、明日、選んだとしたらまったく違う結果になっている可能性は大いにある。では、やっていきたい。

30. Saturday Night to Sunday Mornming/Shiggy Jr. (2013)

ポップでポップなバンド、Shiggy Jr.はまずいけもこちゃんこと池田智子のボーカルがキュートで最高、おまけに青山学院大学出身なので言うことなしだね。と、早速、音楽性の本質とはまったく関係がないことをいっているのだが、アマが選んでいるので仕方がない。「土曜の夜と日曜の朝」といえばアラン・シリトーで労働者階級の文学として有名な小説のタイトルであり、アークティック・モンキーズのデビュー・アルバムとも関係がある。そして、一週間で最高の時間。このために生きている、というようなものであり、ウィークエンダーという概念にも当てはまっている。とにかく朝まで踊り続けよう、という気分なのである。

29. 11月のアンクレット/AKB48 (2017)

渡辺麻友の卒業シングル。まゆゆのおかげで「デュラララ!!」とか「けいおん」を観ることができたり、タカザスパとかピルクル軍団とかのスレッドはあの夏のハイライトといっても過言ではない(いや、これはマジで)。私にとってのAKB48とはそのようなものだったので、平成の名曲とかでは別の曲を選ぶけれど、個人的に思い入れはそれほど強くはない。そして、まゆゆの卒業シングルがこのナイアガラオマージュ歌謡とでもいうべき、清々しい失恋ソングだったことは大きな救いである。

28. マルシェ/KICK THE CAN CREW (2002)

勢いがあって盛り上がるのでとても良い。

27. 代官山エレジー/KIRINJI (2002)

藤井隆に提供した曲のセルフカバーという認識だが、もしかすると違っているかもしれない。ハードめの場面における男の強がりのようなものをヴィヴィッドに描いた松本隆の歌詞がたまらなく良い(「わざと邪険にね背中向けたのは 涙を誤魔化していただけ」)。歌うのはひじょうに難しいので、アマチュアは注意をした方がいい。

26. 乙女 パスタに感動/タンポポ (2000)

冒頭のパスタネタはこの曲への前振り、とかそんなことはどうでも良いのだが、この頃のメンバーは飯田圭織、矢口真里、石川梨華、加護亜依。永田ルイのブリティッシュポップマニアぶりがメインストリームのJ-POPというフォーマットで上品に振り切れまくった素晴らしい楽曲。

25. 風吹けば恋/チャットモンチー (2008)

恋をすることにより自分が自分ではなくなっていくような感覚、をガールズロックという手法で描き切った最高の恋愛ソング。

24. いいくらし/チームしゃちほこ (2014)

「いいくらし」は「Eくらし」であり、1992年にシェイメンが「Eezer Goode」と繰り返し歌っていたこととほぼ同じことのような気もするし、沖田浩之「E気持」やRCサクセション「キモちE」の記憶を呼びさましもするのだが、たとえばマッドチェスター歌謡なるものを想像した数倍は破壊力がある。

23. traveling/宇多田ヒカル (2001)

宇多田ヒカルはデビューからR&B的な楽曲を歌っていてそれもとても良かったのだが、この曲でテクノポップ的なことをやっていて、これはかなり本格的に良いぞとかなり興奮した記憶がある。ビデオで明るい髪の色にした姿に覚えた胸騒ぎは、小泉今日子が髪をショートにした時以来だったかもしれない(伝わりずらいわ)。

22. ノスタルジックJ-POP/大森靖子 (2014)

いろいろアンビバレンツな思いはあったりはするのだが、ここ20年間で日本のポップ音楽界に現れた稀代の才能であることは間違いない。多目的トイレをこの時点において舞台としたJ-POPを書いていたし、「笑笑でもいいから帰りたくない」とかやはり天才だと思う。ところで、笑笑という低価格な居酒屋はいまどきの若者にもうまく伝わるのだろうか。そうでなかったとしても、とても良い曲。

21. ベンガルトラとウィスキー/andymori (2008)

日本のリバティーンズなどと一部では言われていたようなのだが、だとすると日本人でいられてとても良かったと思わせてくれるバンドで、しかも私はリバティーンズが大好きなのである。文学性と抒情性と疾走感が黄金比ともいえるバランスで拮抗する最高のロックバンドによるわれらのアンセム。

20. あなたがいるなら/Cornelius (2017)

世界は基本的にクソであるという真実は知らずに済むのならそれに越したことはないし、もしかすると本当はそうではないのかもしれないという希望は1ミリぐらいなら持っていたいと思う。そして、あなたがいるならこの世はまだましだな、と感じられることの尊さを噛みしめる。夏休みが終わった後もまだ、人生は続いていくのだから。

19. いつかここで会いましょう/カーネーション (2016)

果たせない約束をすることは果たして罪なのかとか、そもそもどこまで誠実でいられるのか、だとすればそれの善悪の度合いはどれぐらいなのだろうと、人を傷つけることと自分自身を守り抜くこととはどうしてこうも両立しないのだろう、などと別に悩む必要がなければそれに越したことはないようなことに避けられず直面しているとするならば、この1曲が気休めぐらいにはなるのかもしれないし、だとすればそれはものすごく価値があることだと思うのだ。

18. Short Hair/Base Ball Bear (2011)

活動の初期においては17才の檸檬スカッシュ感覚などを歌っていて、それも素晴らしかったのだが、人生とは失い続けることであるという真実を直視した上でどうしていくのかということについて歌われているような気もするこの曲は実に素晴らしい。ミュージックビデオの文庫本を読む本田翼も美しい。

17. アンドロメダ/aiko (2003)

美しい風景や胸をかきむしるような痛みもやがてすべて忘れられていく。という事実や真実、それでもまるで呪いでもかけられたかのように愛し続けること、もしくは愛を求め続けることから逃れられないし、それこそが生きていることでもあるのだ、ということが歌われているようで、どこか根源的なシンパシーをこの稀代のアーティストに抱いている人達は実はひじょうに多いのではないだろうか。ポップ・ミュージック批評的にはメインストリームすぎるせいか、あまり取り上げられていないような気もするのだが、間違いなく現在の日本のポップ・ミュージック界で最も才能に溢れたアーティストの一人だと思う。

16. 若者のすべて/フジファブリック (2007)

夏の終わりには何歳になっても毎年、胸をかみむしられるような寂しさに引き裂かれそうになる訳だが、それを少しでもましなものにしてくれるところが、この曲の個人的には最大の効能だろうか。

15. 江南宵唄/Negicco (2016)

新潟を拠点とするアイドルグループ、Negiccoには他にも良い曲が数え切れずあるし、極上の大人ポップアルバム「ティー・フォー・スリー」の中でもわりと攻めている方なこの曲を代表曲とする人はおそらくあまりいないのだが、この感じがとにかくやたらと良い。グループのイメージはアットホームでオーガニックなのに、音楽的な姿勢がプログレッシヴなところにギャップ萌えを超えた尊さを感じる。それで、実はご当地ソングでもあるという。

14. YOU/木村カエラ (2006)

何かよく分からないのだが、真夜中に聴いていてふと泣けてくる曲みたいな、というようないかにも語彙力がレスザンゼロな感想ではあるが、あくまでアマが選んでいるのでそれもまた乙なもの、という甘え。

13. ナイスポーズ/RYUTist (2020)

青春の日々にはあまりにも日常的すぎて何とも思ってはいなかったことが、実はとても輝いていたりもしたような気がする。しかし、すべては忘れ去られてしまった。そんな我々の日常にあったかもしれない青春の輝ける一コマ、ただし当時はそれほど特別だとは思われていなかったような瞬間をポップ・ソングとして真空パックした、あまりにも完璧に尊い楽曲。その好きさ加減が個人的すぎて、必要以上に順位を下げたぐらいである。わずか数分のポップ・ソングだが、良質な短篇小説を読んだぐらいの充実感が個人的にはあり、実はこの曲を聴いて何度もボロ泣きしている、というカミングアウト。

12. キャビアとキャピタリズム/佐野元春&ザ・コヨーテバンド (2015)

先日、若かりし頃に佐野元春に夢中になっていたが、現在は恥ずかしくて聴くことができないというおそらく同年代の方のつぶやきを目にしたが、私は佐野元春が市場原理主義に組み込まれざるをえないながらも、それに対する異議申し立てを表現したこのような曲をリリースし続けていることについて、寧ろ誇らしい気持ちでいっぱいである。たとえば、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ブルース・スプリングスティーンのようなあり方はこの国おいては正直しんどいのではないかとも感じるのだが、そこに少なくとも一縷の望みぐらいは抱かせてくれるので、この曲は吉本隆明に捧げられたというところも含めて素晴らしいし、やはり私はこちら側にいたいと思い続けるのだろう。

11. はじまるふたり/さいとうまりな (2014)

Apple Musicのおすすめに出てきて聴いてみたらとても良かったというだけで、実は歌っている人のことをほとんど知らない。作詞・作曲は堂島孝平である。恋がはじまったばかりの頃のグルーヴ感、すべてがうまくいくようにしか思えず、悪い予感のかけらも無いというような、そんな気分でいられる期間はけして長くはない訳だけれども、この曲を聴いている限り、それを追体験しているような気分にもなれる。というか、完全に無縁にはかろうじてならずにいられるような気がする。この曲をいつかライブで聴きたい。

10. ナチュラルに恋して/Perfume (2010)

Perfumeというグループはローカルアイドル出身とか平成版テクノポップとかいろいろすごいなと思わされるところがひじょうに多いのだが、この「ナチュラルに恋して」という曲を聴いて、私は一時期ひじょうに病んだ。やはり、こういうアットホーム感というか、慣れ親しんでいる感じこそが尊いのかと感じ、そういうのが極度に不得手な私としてはもうこれはダメかも分らんね、というようなことを感じたりもしたのだが、いまとなってはすべてが笑えるし、その事実を残念に感じたりもする。

9. 常夏リターン/lyrical school (2018)

この曲のタイトルが「ナッツ・リターン」のもじりだと説明しても、もはや印象は薄い。ということはまあどうでも良いのだが、アイドルラップといえでもスキルはわりと高い。この曲はスチャダラパーのメンバーだとかかせきさいだぁがかかわっていて、「サマージャム’95」に対する13年越しのアンサーソング的なところもあったりする。とにかく、何だかとても良いな、と感じさせるサマー・ポップなのであった。

8. 桜 super love/サニーデイ・サービス (2016)

「きみがいないことは きみがいることだなぁ」というフレーズに、いて欲しい「きみ」が諸事情によりいないという事実に苛まれた人々の心をいかに救ったかということについては、おそらく当事者でなければ分からないのかもしれない。そして、当時は世界が地獄にしか思えなかったが、そのタイミングで当事者であったことはもしかすると幸運だったのかもしれない。もちろんその記憶すらもいまは忘れ去られ、どんどん薄まっていくだけで淋しいのだが、この曲がその名残りを感じさせてくれたりはする。

7. 菫アイオライト/WHY@DOLL (2016)

ディスコ・ファンク的なアイドルポップスの中でも屈指のクオリティーと絶妙なバランス感覚だと個人的には思っていて、音源の時点でかなり気に入っていたこの曲がライブで観られればという気持ちで行ったWHY@DOLLのリリースイベントが、当時の私を根本的に救ってくれた。というような事情はさておき、カッコいいサウンドとキュートなボーカル、全体的にポジティブなのだが一時的にメロウになるかと思いきや、そこにスティーヴィー・ワンダーからの影響が潜んでいたりと、ノリノリでありながらも情報量はわりと多い。初めて聴いた時に、そうそうこういう曲が聴きたかったんだよ!という気分になって、ライブで何十回かは観ているのだが、それでもまだまだ大好きな曲で、これはずっと続くのだろうなという気もする。

6. ばらの花/くるり (2001)

インディー・ロックにテクノポップ的な要素を取り入れたという点でもわりと画期的なのだが、それがわりと重要なことを歌っている風なところもかなり良かった。

5. 青春Night/モーニング娘。’19 (2019)

メンバーチェンジを繰り返し、国民的アイドルグループと呼ばれたり呼ばれなかったりしながら20年以上続いているのだが、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」のメインのステージに渋谷陽一の出囃子で登場した年のシングル。ちぃちゃんこと森戸知沙希がセンターで、テーマは私の人生、エンジョイ!!ということで最高なのだが、途中のラップパートや歌姫、小田さくらの一瞬のシャウトなど聴きごたえも抜群。

4. ただいまの魔法/Kaede (2018)

Negiccoの最年少メンバー、Kaedeのソロシングル。本人がファンであることを公言してもいるTRICERATOPSの和田唱の提供曲である。永遠とはおとぎ話ではなく、愛を見つけた時に実感するものなのだろうという、実はわりとすごいことを歌っているのだが、これがまたたまらなく良いのである。相模湖で撮影されたビデオも素晴らしく、ロケ地に聖地巡礼したのは個人的に良い思い出である。

3. 朝になれ/加納エミリ (2020)

80年代のエレポップをまったく新しい感覚でアップデートしたような音楽を当初はやっていたが、活動休止期間を経てリリースされたこの曲にはソウル/R&B的なエッセンスも感じられる。現在は暗い時代の渦中だとして、早く朝になれという思いを歌ったこの曲は、実際には個人的な内容を歌っているようでいて、コロナ禍における人々の心情ともマッチするようにも思える。本人はしばらく制作サイドに基本的には専念すると宣言しているが、アンダーグラウンドではなくメインストリームを志向しているところが頼もしく、応援したい気持ちにもさせられる。そして、いつかこの曲を超える新曲が届けられる可能性もあると考えるだけで、この先も積極的に生きていく理由の足しにはなるといえる。

2. サーカスナイト/七尾旅人 (2012)

夜に魔法があることはおそらく周知の事実だとは思うのだけれども、それが最大の効果を発揮するのは、おそらく性愛においてなのだろう。人生における花などというものは、おそらくそれぐらいにしかないのだろうということは昭和の文豪も言っていることではあるのだが、それを日本のポップス流のソウル・ミュージックで表現したこの曲は素晴らしいなと感じるのである。あと、この曲をLINEのプロフィールに設定している大人の女性はセンスがかなり良い(完全に分かりやすい私信)。

  1. ラブ・ストーリーは週末に/WHY@DOLL (2017)

シティ・ポップ的な楽曲とアイドル的なキュートなボーカルとのギャップというようなことだけではまったく済まされることのない、はなから泣きまくるサックスのトゥーマッチすぎて心地よい80年代感覚、そのうっとりするようなバブリーでドリーミーな時代への郷愁、かと思いきやその時代にはまだ生まれてすらいないこの札幌出身のガールズユニットのメンバー自身による歌詞とパフォーマンスは理想とする恋の感覚を繊細なときめきと共に表現し、作曲・編曲の吉田哲人氏はまるでディオンヌ・ワーウィックに対するバート・バカラックのように、その魅力を最大限に生かすべくエスコート、楽曲そのものがロマンスのような気分にさせられる、とにかく最高のポップ・ソング。この曲のパフォーマンスを何度となくライブで体験できたことは宝物だったな、と心底思うのである。

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