クリエイション・レコーズから発売された曲ベスト20

イギリスでは「クリエイション・レコーズ・ストーリー」という映画がもうじき観られるようになるらしく、うらやましい限りである。これは90年代にポップ・ミュージック史に残る名盤の数々を生み出したインディペンデント・レーベル、クリエイション・レコーズのボス、アラン・マッギーのバイオピックとなっていて、「トレインスポッティング」の原作者、アーヴィン・ウェルシュが脚本を書いているというのだからかなり期待ができるのではないか。アラン・マッギーを演じているのは、「トレインスポッティング」のスパッド役ことユエン・ブレムナーだという。

という訳で、クリエイション・レコーズの素晴らしいカタログの中から20曲を選んでランキング化しようとしたのだが、あまりも良い曲が多すぎるので1アーティスト1曲縛りでお届けしてみたい。あくまでいま現在における個人的な気分が大きく影響しているため、明日やったとすればかなり変わっている可能性はひじょうに高い。

20. Rave Down/Swervedriver (1990)

ラウドなギター・ロックなのだがメロディアスでインディー・ロック的というのもクリエイション・レコーズ作品の特徴のうちの一つという気もするのだが、このスワーヴドライヴァーもそんな印象のバンド。

19. Almost Prayed/The Weather Prophets (1986)

ピーター・アスターという素晴らしいアーティストがザ・ロフトとソロの間の期間にやっていたバンドの代表曲。どこか牧歌的でもあるサウンドと味のあるボーカルがたまらなく良い。

18. Drive Me Down/The Velvet Crush (1991)

日本でもインディー・ポップ好きの女子にものすごく人気があった印象がある。ポップでキャッチーで勢いがあってとても良い。

17. Cut Me Deep/The Jasmine Minks (1984)

紛れもなくれっきとした正しいインディー・ポップという印象である。この当時、けして聴いていてモテるタイプの音楽ではまったくなかったと思うのだが、91年当時の東京の一部では少なくとも状況は一時的に変わっていたのだった。

16. Sunshine Smile/Adorable (1992)

1992年の春の時点でクリエイション一押しの新人バンドというような印象で、インディー・チャートでも1位になったと思う。ノイジーなギターとインディー・ポップ的なメロディーとボーカルというパターンだが、いま聴いてもキラキラ感のようなものがあってとても良い。西新宿のラフトレードショップを思い出させるが、もしかすると渋谷のCISCOで買ったかもしれない。

15. Up The Hill And Down The Slope/The Loft (1985)

ピーター・アスターのボーカルというのは、いわゆるインディー・ポップ的という意味ではひじょうに典型的に優れているように思えるのだが、その良いところがフルに発揮された素晴らしい楽曲。インディー・ポップらしからぬブルーズ的なギターソロなどもあり、ひじょうに聴きごたえがある。

14. Changes/Sugar (1982)

アメリカン・オルタナティヴ・ロックのかなりすごいバンド、ハスカー・ドゥのボブ・モールドが結成したインディー・ロック・バンドがシュガー。ラウドでヘヴィーでポップでキャッチー、ニルヴァーナ「ネヴァーマインド」が大ヒットの余韻が冷めやら中でのリリースで、この曲も収録した「コッパー・ブルー」はR.E.M.らを抑え、この年の「NME」で年間ベスト・アルバムに選ばれた。

13. Christine/The House Of Love (1988)

ザ・スミス解散後、インディー・ロック冬の時代と、おそらくコアなファンの方々にとってはあまり関係が無かったのかもしれないが、私のようなその時々の流行りのポップ・ミュージックを節操なく追いかけているだけの軽薄なミーハーにとってはそんな印象であった頃に、良質な作品を発表し続け、次世代に繋いだとても偉大なバンドがハウス・オブ・ラヴ。この後、フォンタナに移籍するのだが、クリエイション時代に素晴らしい作品をいろいろリリースしていて、これはその中でも個人的に好きな1曲(当時はまったく注目していなかったが)。

12. Serious Drugs/BMX Bandits (1992)

ギター・ポップとかアノラックとかいうジャンルの音楽を好む若者というのが、おそらくフリッパーズ・ギターの影響もあってこの頃にはやたらと多くなっていた印象があったのだが、このBMXバンディッツというのはそういった人達の間でもかなり人気があったような気がする。六本木WAVEのリニューアルでバタバタしていた時期にわりと和む感じの良い曲だなと思って、よく聴いていた記憶がある。

11. Alison/Slowdive (1993)

シューゲイザーというのは、その自己陶酔的でもある様を揶揄するような呼称だというように認識していたのだが、いつしか立派に一つのサブジャンルとして定着したところがやはりすごい。このスロウダイヴなども当時はそれほどシリアスに評価はされていなかったような印象があるし、個人的にもほとんどちゃんと聴いていなかったのだが、いま聴くとかなり良いことをやっていたなと感じるのである。

10. Million Tears/The Pastels (1984)

フリッパーズ・ギターの影響によって増殖したと思われるギター・ポップだとかアノラックというような音楽を愛好する若者達に91年ぐらいに私は遭遇する訳だが、彼女達はビートルズだとかボブ・ディランだとかをろくに聴いたこともないのだが、このパステルズだとかオレンジ・ジュースだとかゴー・ビトウィーンズだとかを好み、よく分からないサウンドトラックのレコードなどを買っているという動向に衝撃を受けた。これのどこが良いのだと当初は思っていた私だったが、聴けば聴くほど好きになっていき、ポップ・ミュージックの聴こえ方が根本的にといっていい程に変わっていったという記憶がある。

9. Lazarus/The Boo Radleys (1992)

ブー・ラドリーズといえばブリットポップ全盛期にヒットした「ウェイク・アップ・ブー!」で知られるようなところもあるが、本来はもっと実験的でユニークなことをやっていたバンドである。このシングルにおいてはカーペンターズやビー・ジーズすら彷彿とさせるキャッチーなメロディーとインディー・ポップ的なサウンドをマッチさせ、さらにダブ的なリズムが導入されているところがあるなど、情報量がすさまじく味わい深い内容となっている。この曲を収録したアルバム「ジャイアント・ステップス」も素晴らしい作品である。

8. Rain Of Crystal Spires/Felt (1986)

ネオ・アコースティックにカテゴライズされることもあるフェルトもまた、いわゆるUKインディー・ポップの典型例として実に正しい音楽という印象があるのだが、代表曲を絞りにくかったりもする。というか、アルバムがトータルでとても良い。インディー・ポップというジャンルの音楽の魅力のエッセンスがが凝縮されているようなバンドだと思う。

7. Ice Hockey Hair/Super Furry Animals (1998)

後期クリエイション・レコーズで最もユニークな音楽を発表し続けていた印象が強いのが、ウェールズ出身のスーパー・ファリー・アニマルズである。この曲など一体、何曲分のアイデアを1曲に詰め込んでいるんだという楽しみがある。

6. Upside Down/The Jesus & Mary Chain (1984)

ノイジーなギターとサーフ・ロック的な楽曲、インディー・ポップ的にクールなボーカルというような要素をかけ合わせることによって何ともユニークなポップ・ミュージックが出来上がったというある意味、一つの革命であった。この後、すぐにレーベルを移籍するが、最初のシングルはクリエイション・レコーズからリリースされていた。

5. Vapour Trail/Ride (1990)

ライドで1曲となった場合、どの曲を選ぶかというのはわりと悩ましい問題ではあるが、今回はデビュー・アルバム「ノーホエア」に収録されたこの曲である。轟音ギターと甘美なメロディーとボーカル、そして、少なくとも私の周りの女子の間ではアイドル的な人気もあったところがとても良い。

4. The Concept/Teenage Fanclub (1991)

サウンド的に特に新しいところは無かったとしても、良い曲を素晴らしい演奏でやっていればコンテンポラリーなポップ・ミュージックとして十分に輝かしい作品が生み出されるのだという、実は当たり前の事実に気づかせてくれた作品として、個人的にティーンエイジ・ファンクラブの「バンドワゴネスク」はひじょうに印象深い。

3. Loaded/Primal Scream (1990)

80年代にデビューした頃はギター・ポップ的な音楽をやっていたが、この曲ではダンス・ミュージックの手法を取り入れ、当時、流行していたマッドチェスター・ムーヴメントと同期し、東京のフリッパーズ・ギターにも影響をあたえたと思われる。この曲を収録したエクレクティックなアルバム「スクリーマデリカ」は、90年代のポップ・ミュージックが生み出した大きな成果のうちの一つだといえるだろう。

2. Cigarettes And Alcohol/Oasis (1994)

オアシスにはもちろん他に良い曲がたくさんあるのだが、なぜあえてこの曲なのかというと、そんな気分だったからとしか言いようがない。バラードも良いのだが、オアシスはやはりロックンロールバンドであり、あの90年代半ばにその価値感をクールなものとして復権させたことの意義がひじょうに大きいようにも思える。デビュー前に「NME」付録のカセットで初めて聴いたオアシスの曲がこれであり、その時はもっとあからさまにT・レックス「ゲット・イット・オン」に似てもいたのだが、それでも十分にカッコよかった。

  1. You Made Me Realise/My Bloody Valentine (1988)

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインといえば1991年のアルバム「ラヴレス」がエポックメイキングな作品として、また、制作費がかかりすぎてクリエイション・レコーズを倒産させかけた作品という印象がなんとなくあり、確かにあのアルバムは素晴らしいのだが、1曲を選ぶとなるとオリジナルアルバムには収録されていない、1988年のこの曲ということになるだろうか。ノイジーなサウンドとインディー・ポップ的なメロディーとボーカルということにやはりこの曲もなる訳だが、そういったタイプの曲としてのクオリティーがとにかくずば抜けているし、オリジナリティーにも満ち溢れている。

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