1995年のポップ・ソング・ベスト40

いろいろな理由が重なって、生まれて初めて正社員になった明大前の広告代理店時代、つまり90年代半ばあたりのことを思い出しがちな今日この頃なのだが、輪をかけて引っ越しの準備で片付けをしていたら当時のいろいろな物が出てきたりして完全にそっちモードなので、今回は1995年のポップ・ソング・ベスト40をやっていきたい。

当時、好きで聴いていたものやそうでもなかったのだが、いま思うとかなり好きだなと思うものや、当時はまったく知らなかったのだが後から知ってそういえばこの年のリリースだったものなどいろいろである。選曲およびランク付けについては個人的な趣味や嗜好が強く反映しているため、例によって客観性は著しく欠いている。でも、やるんだよ。という訳で、ではどうぞ。

40. Where The Wild Roses Grow/Nick Cave & The Bad Seeds & Kylie Minogue

ニック・ケイヴ&バッド・シーズの殺人をテーマにした曲ばかりを集めたアルバム「マーダー・バラッズ」からの先行シングルで、われらのアイドル、カイリー・ミノーグをフィーチャーしている。

39. Bluetonic/The Bluetones

ブリットポップがひじょうに盛り上がっていて、イギリスの新しいインディー・ロック・バンドが次々と紹介されていた訳だが、このザ・ブルートーンズもかなり注目されていて、翌年には「スライト・リターン」が全英シングル・チャートで2位を記録することになる。これはその少し前のとても良い曲。

38. DA・YO・NE/EAST END + YURI

日本で初めてメジャーに売れたラップの曲なのではないだろうか。リリースは前の年だがじわじわと人気が出てこの年にヒット、いろいろな地域の方言バージョンも出たりしていた。企画ものっぽいところはもちろんあるのだが、わりとちゃんともしているような気もする。ジョージ・ベンソン「ターン・ユア・ラヴ」のフレーズが用いられている。

37. You Oughta Know/Alanis Morissette

オルタナティヴ・ロック的でもシンガー・ソングライター的でもある女性アーティストで、今日のメインストリームで活躍中の人達に道を切り拓いた印象もひじょうに強い。

36. Natural One/The Folk Implosion

性的に奔放な若者の生態を描いたおしゃれなインディー映画「KIDS/キッズ」のサウンドトラックに使われたオルタナティヴ・ロック、このタイプの音楽としてはかなりヒットした。演奏しているのはセバドーのルー・バーロウらによるサイドプロジェクト的ユニットである。

35. ズルい女/シャ乱Q

ディスコ・ポップと水商売的歌謡ボーカルのハイブリッドというユニークな楽曲。上司がカラオケで歌っているのを聴いてこの曲を知ったのだが、当時はまったく好きではなかった。その後のことを考えるといろいろと感慨深いものがある。

34. A Girl Like You/Edwyn Collins

日本ではフリッパーズ・ギター効果によって再評価されることになったスコットランド出身のインディー・ロック・バンド、オレンジ・ジュースのフロントマンだった人である。もともと味のあるボーカルがレトロ感覚のサウンドとマッチして、グループ時代を超える全英シングル・チャート最高4位のヒットを記録した。

33. 1979/The Smashing Pumpkins

浜崎あゆみも大好きだと言っていたスマッシング・パンプキンズの2枚組アルバム「メロンコリーそして終りのない悲しみ」からのシングル曲。70年代あたりのアメリカのラジオでよく流れていたようなポップスを感じさせる、このバンドにしてはひじょうに聴きやすい曲。

32. Waking Up/Elastica

ボーカルのジャスティーン・フリッシュマンはスウェードの元メンバーでブレット・アンダーソンと付き合っていたが、別れて脱退してからはブラーのデーモン・アルバーンと付き合い、ブリットポップのロイヤルカップルなどとも呼ばれていた。音楽的にはポスト・パンクやニュー・ウェイヴから強く影響を受けていて、当初はNWONW(ニュー・ウェイヴ・オブ・ニュー・ウェイヴ)なるシーンの中心的存在だったが、それ自体が失速してからはブリットポップにカテゴライズされていた。この曲も収録したデビュー・アルバムは全英アルバム・チャートで1位に輝いた。

31. Yes/McAlmont & Butler

スウェードを脱退したギタリスト、バーナード・バトラーがボーカリストのマッカルモントと組んでリリースしたシングルで、全英シングル・チャートで最高8位のヒットを記録した。ブリットポップというムーブメントそのものの勢いが上向きな頃のポジティブな気分が感じられる曲としても記憶されている。

30. 今夜はHearty Party/竹内まりや

「VARIETY」でカムバックしてからすでに10年以上が経っていたが、個人的にはこの頃まったく聴いていなかったので、特にこの頃の記憶と結びついてもいない。昨年末、Negiccoのオンラインライブのアフターパーティーでかかっていて、バブルの残り香が感じられる素敵な曲だなと思ったのがたまたま1995年の発売だった。

29. Country House/Blur

オアシス「ロール・ウィズ・イット」の発売日にブラー側がこの曲を合わせていったため、「NME」などが面白がって「バトル・オブ・ブリットポップ」が勃発、ニュース番組でも取り上げられるほどの騒ぎだったという。いろいろなからくりはあったものの、ブラーの「カントリー・ハウス」が1位になって勝利ということになった。ヒットはしたもののユーモア感覚がいきすぎていて若干しんどいという評価にもなり、インディー指向のグレアム・コクソンなどは相当うんざりしてもいたようなのだが、一周回って実は結構良いのではないか、とも思えてきた。

28. DISCOMAN/GREAT 3

デビュー・アルバム「リッチモンド・ハイ」リリース後、初のシングル。「渋谷系」とシティ・ポップ/ジャパニーズAORリバイバルを橋渡しするような音楽性を持ち、個人的にはフリッパーズ・ギター解散後の日本のポップスで(元フリッパーズ・ギターの2人以上に)最も好きだった。ポップでキャッチーなサウンドにのせて、狂気スレスレ致死量レベルの切なさを歌う特徴はこの曲にもあらわれている。

27. Body Feels EXIT/安室奈美恵

小室サウンドとギャル文化が当時の日本ではメジャーに流行していて、安室奈美恵はそれを象徴するような存在であった。この曲は私の現在の妻の同僚であった女性がカラオケで歌っている時にその内容を初めてじっくりと吟味して、少女の好奇心と不安のようなものをリアルに描写した優れたポップ・ソングだと認識した。

26. MOON WALK/Cornelius

当時のコーネリアスこと小山田圭吾はテレビの音楽番組などにも、普通に出ていたような印象もあるが、あまりちゃんと観ていなかったので記憶が定かではない。パンク/ニュー・ウェイヴ的な感覚の人達からはダサいと思われてもいたハード・ロック/ヘビー・メタルを取り入れたサウンドが特徴。シングルはCDではなくカセットで色違いのものが何種類か発売された。渋谷ロフトの1階から上の方の階に移転したWAVEで、カヒミ・カリィ「GOOD MORNING WORLD」のシングルCDと一緒に1種類だけ買った記憶がある。

25. Acquiesce/Oasis

オアシスにとって初の全英NO.1シングルとなった「サム・マイト・セイ」のカップリング曲である。楽曲のクオリティーが高いのはもちろん、喧嘩でお馴染みのギャラガー兄弟がお互いを認め合うかのようなサビ部分がファンには胸熱であった。

24. Wake Up Boo!/The Boo Radleys

ブリットポップブームによって、まさかと思えるようなインディー・ロックバンドが全英シングル・チャートの上位にランクインするという事態が起こってもいた。ブー・ラドリーズは当時、ひじょうに勢いがあったクリエイション・レコーズ所属でアルバム「ジャイアント・ステップス」などはひじょうに評価が高かったのだが、けしてヒットチャートの上位に登場するようなタイプのバンドではなかった。とはいえ、この曲はブリットポップにかなり寄せてきた印象で、ひじょうに分かりやすくなっている。しかし、それでちゃんとヒットさせたのはやはりすごいことである。

23. Just A Girl/No Doubt

ノー・ダウトはかなり売れていて、当時、この曲を収録したアルバムのCDジャケットをタワーレコードなどでよく見た印象もある。しかし、個人的にはいまひとつピンと来いなく、しばらくよく分からない存在ではあったのだが、いろいろあって改めて聴いてみると、この曲などはフェミニストアンセムとしても機能するポテンシャルがあり、かなり良いのではないかと思ったのであった。

22. サマーヌード/真心ブラザーズ

いまや夏の定番曲として定着した印象もあるこの曲だが、リリース当時のオリコン週間シングルランキングでの最高位は81位止まりであった。現在の評価のされっぷりを考えると、もっと上位にランクインするべきなのかもしれないのだが、個人的にはこの数年後の「ENDLESS SUMMER NUDE」がディフィニティヴなバージョンという印象もあり、このような感じである。ビデオにはデビュー前のPUFFYも出演している。

21. Girl From Mars/Ash

ブリットポップの若手バンドという印象があったアッシュはこの年にはわりと良いシングルをリリースし続け、翌年のデビュー・アルバム「1977」が1位を記録する。とはいえ、この時期の代表曲といわれているのが、このシングルである。ブリットポップの時期にリリースされてはいたのだが、勢いのあるパンクポップとして普遍的な価値を持っているようにも思える。

20. This Is A Call/Foo Fighters

ニルヴァーナのカート・コバーンが亡くなった数日後にオアシスのデビュー・シングル「スーパーソニック」がリリースされたのはもちろん偶然だが、象徴的でもあった。ブリットポップがムーヴメントとして盛り上がる最中、ニルヴァーナのドラマーだったデイヴ・グロールがフー・ファイターズとしてカムバック。バンドという体ではあるが、この頃の作品は宅録レコーディングされていたはずである。イギリスではシングル・チャートで5位といきなりヒットしていた。

19. Fake Plastic Tree/Radiohead

オアシスやブラーなどの躍進によって一瞬だけ影が薄くなっていた印象もあるレディオヘッドだが、この年の春にリリースされたアルバム「ザ・ベンズ」では楽曲のクオリティーが格段に上がっていて驚かされた。現在ではレディオヘッドはブリットポップではないという見方が強いように思えるが、この時点では同じ文脈で捉えられていたような気がする。

18. Gangst’s Paradise/Coolio ft. L.V.

「BEAT UK」で1位だった印象が個人的にはひじょうに強い。スティーヴィー・ワンダー「楽園の彼方へ」をサンプリングしたヒップホップ・チューンで、映画「デンジャラス・マインド」のサウンドトラックにも使われていた。

17. Oh Baby/GREAT3

バンド名が示しているように、偉大な3人組による2枚目のシングル。「昔の恋も チョコレイトでも 君が好きなものはみんな嫌いだ」「信じてた 疑いのかけらも無く ほっといてくれ 一人で眠るから」というようなフレーズに良さを覚える方にとっては間違いがない極上の悲恋ソング。

16. California Love/2 Pac Feat. Dr. Dre & Roger Troutman

ザップのロジャー・トラウトマンをフィーチャーし、ドクター・ドレーがプロデュースしたギャングスタ・ラップ。完全なイメージでしかないのだが、アメリカで開催されるバーベキューなどに似合いそうである。2パックはこの翌年、凶弾に倒れる。

15. Mellow Doubt/Teenage Fanclub

ティーンエイジ・ファンクラブの「グランプリ」というアルバムはタイトルやジャケットに描かれたF1カーもカッコいいが、とにかく良い曲がたくさん詰まった作品なのである。この曲は先行シングルとしては地味かもしれないが、クオリティーには間違いがなく、かつては燃え上っていたものの、この関係はもうダメなのではないかという気分の時に聴くとたまらなく良い。そして、それを乗り越えて続いていくこともある。

14. Reverend Black Grape/Black Grape

元ハッピー・マンデーズのショーン・ライダーが新たに結成した、ファンキーでグルーヴィーなバンドのデビュー・シングル。「NME」ではオアシスやパルプを抑えて、年間ベスト・アルバムに選ばれた。ハッピー・マンデーズから参加しているメンバーのベズは歌うでも楽器を演奏するでもなく、ただ踊っているという役割ながらバンドのパフォーマンスには不可欠というユニークなアーティストであった(現在はワークアウトのYouTubeチャンネルをやっている)。

13. 強い気持ち・強い愛/小沢健二

「渋谷系」の王子様として日本のお茶の間レベルでもキャラ立ちしていたといわれる小沢健二が歌謡ポップス界の大御所、筒美京平の曲を歌うということで話題になったようだ。オリコン週間シングルランキングで、最高4位のヒットを記録している。

12. Fool & The Gang/GREAT3

GREAT3の記念すべきデビュー・シングル。R&Bグループ、クール&ザ・ギャングをもじったと思われるタイトルからしてまず最高なのだが、無理して前向きそうに振る舞う余裕などなく、ただ思い出に縛られ続けているという状況を最高のポップ・ソングとして昇華しているところがとにかくすごい。アルバム「リッチモンド・ハイ」も常軌を逸した大傑作だということができる。

11. 若草の頃/カヒミ・カリィ

小山田圭吾が「音楽監督」を務めたミニアルバム「LEUR L’EXISTENCE~『彼ら』の存在」の収録曲で、ムッシュかまやつがゲスト参加している。永遠に色褪せることのない夏の日の奇蹟を閉じ込めたかのような、有機的で美しい音楽。

10. Carnival/The Cardigans

この少し前からスウェディッシュ・ポップやカーディガンズは日本の一部の音楽ファンの間でわりと話題になっていたような気がするのだが、この曲を収録したアルバム「ライフ」で一気に広がった印象である。そして、このアルバムが最も似合うCDショップは個人的には渋谷パルコクアトロの方のWAVEだったような気がする。渋谷がまだそれほどあからさまに広告の街ではなかった(ように感じられた)時代に、この曲をいろいろなところで聴いた。アルバムのジャケットやタイトルが同じでも、発売された国によって収録曲が異なっている場合があった。

9. Alright/Supergrass

ブリットポップ勢の中でも特に若々しく勢いを感じさせたスーパーグラスの、これ以上ないぐらいにポップでキャッチーな全英NO.2ヒット。モンキーズのようなバラエティー番組が制作されるという話もあったような気がするのだが、いまとなっては本当にあったのかすら記憶があいまいである。

8. 恋におちたら/サニーデイ・サービス

当時、諸事情により聴く機会を逸していたのだが、当時、音楽好きの若者達に人気があったのも納得のクオリティーである。70年代フォーク的な路線をあざとく狙っているのではないかというような完全な偏見があり、聴いていなかったところもあるのだが、これもまたあの時代を生きていた人々のリアリティーではあったのだろうということは、いま聴いても理解できるような気がするし、当時の他のポップ・ソングと並べて聴いてみてもなんとなくしっくりくる。

7. ロビンソン/スピッツ

まず、普通にバンドサウンドで良質なポップ・ソングが日本でメジャーにヒットするということ自体が、当時としてはひじょうに珍しかったのではないだろうか。当時、諸事情により日本のほとんどのメジャーなポップ・カルチャーに嫌気がさしていたりしたのだが(現在は概ねほとんど大好きである)、この曲を収録したアルバム「ハチミツ」を家で現在の妻がかけていることは、それほど嫌ではなかった気がする。自主的に積極的に聴いていた訳ではなかったのだが、帰省した時にいとこ達と留萌のカラオケボックスに行った時、適当に入れると普通に歌えた。草野マサムネが日曜日にやっている「ロック大陸」とかいう番組を一度も聴いたことがないのだが、妻がよくそのことを話しているので、どういうことをやっているのかはなんとなく把握している。

6. Waterfalls/TLC

前の年の秋にリリースされたアルバム「クレイジーセクシークール」からのシングル・カットだが、これは1995年のポップ・ソングと言って良いのではないかと思う。趣味性の高い音楽ファンというよりは、週末に新宿ルミネにあった頃のタワーレコードをぶらぶらしているカップルの雰囲気が思い出される。自由で平和的でこれといって大きな不安もない、そのような気分にこの曲の感じはとてもよく似合っていた。たとえそんな日々が、それほど長くは続かなかったとしてもである。

5. Common People/Pulp

パルプというバンドは70年代にはすでに結成されていて、インディーズレベルではそこそこ評判にもなるものの、長年くすぶっていたというところもあるのだが、ブリットポップがムーブメント化するかしないかぐらいの頃にメジャーと契約、このシングルが全英チャートで2位のヒット、グラストンベリー・フェスティバルではメンバーの負傷により出演できなくなったストーン・ローゼズに代わってヘッドライナーを務め、それが大成功してオアシス、ブラーに次ぐ人気ブリットポップバンドになった。イギリスの階級社会をテーマにしてもいるポップでキャッチーでありながら、インテリジェントでアンセミックでもあるというポップ・ミュージック史に残る素晴らしいシングル。

4. Wonderwall/Oasis

「バトル・オブ・ブリットポップ」ではブラーに軍配が上がったけれども、ブリットポップのシグネチャー的バンドといえば、やはりオアシスなのではないだろうか。インディー・ロック的なエッジもギリ残しながら、みんなのうた的なポップ・ソングとしての強度を持つこの曲などを聴くと本当にそう思う。そして、今さらながらリアムの素晴らしいボーカルがノエルの卓越したソングライティング出会ったというか、そもそも兄弟で同じバンドのメンバーになったという事実がもうすでに奇蹟的である。

3. Some Might Say/Oasis

バラードも良いのだが、オアシスといえばやはり真骨頂はロックンロールなのではないか。春にリリースされ、新章の幕開けを感じさせたこの曲でオアシスはアルバムだけではなく、シングルでも初の全英NO.1に輝くのだが、引っ越しが済んだばかりだというのに片付けも後回しに新宿に買いに行って、ダンボールだらけの新居で聴いてこれは良いやとガッツポーズを取ったあの日の午後、悪い予感のかけらもなかった。

2. 悲しい歌/ピチカート・ファイヴ

愛でも青春でもそうなのだが、いずれ終わってしまうからこそ美しいということはよく言われるような気がするのだが、良いことならばずっと永遠に続いた方が本当は良いのではないだろうか。しかし、現実にはなかなかそうはいかないから、そういうことにしているだけなのだろうか。とにかくソウル・ミュージックの「渋谷系」的解釈とでもいうようなものすごくカッコいい曲なのだが、タイトルにもあるようにこれはとても悲しい歌で、悲しいことについて歌っている。これは個人的な恋愛のことを歌っているのかもしれないが、まるで過ぎ去った時代のことでもあるように聴こえる、というのは深読みに過ぎないのかもしれない。そして、みんな忘れてしまうのだろうか。まるでそれを全力で拒むかのようにして、今夜もこのような文章を書いている。

1. サマージャム’95/スチャダラパー

この曲は1995年にまつわるある気分のようなものを、思い出させてくれる。当時、私はこの曲の中の登場人物のように、「クラブだね 妥当な線として」というような日常をまったく送ってはいなかったとしてもである。その空気感のようなものが、なんとなく伝わってくる。この曲にミュージックビデオは作られなかったのだろうか。いろいろ探している限りでは観たことがないのだが、私が知らないだけなのかもしれない。もしあったならば、もっと当時の感覚が伝わる楽しいものになっていたのかもしれない、と思う一方で、音だけだからこそイマジネーションが補足してより良いのではないかと感じたりもする。もうすでに大人になってからしばらく経っていたし、けして何の悩みもないハッピーでラッキーな日々などではなかった。それでも、あれは終わらない夏休みのようなものだったのではないか。それを思い出すことに一体、どのような意味があるのだろうか。意味なんてどこにもないことは、あらかじめ分かっているとしてもだ。この曲を収録したアルバム「5th wheel 2 the Coach」のCDは、夜遅くほろ酔いの状態で立ち寄った代々木上原のTSUTAYAで軽いノリで買った。そのシチュエーションも込みで、かなり気に入っている。

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