2001年日本のポップ・ソング・ベスト20

小泉純一郎が内閣総理大臣に任命され、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンと東京ディズニーシーが開園し、アメリカ同時多発テロ事件が世界に暗い影を落とした2001年、日本でヒットしたりそれほどヒットはしなかったポップ・ソングの中から、これは時代を超えて良いのではないかと思える20曲を選んでみた。

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21世紀がはじまった年、Appleのデジタルオーディオプレイヤー、iPodが市場にデビューを果たすが、人々が音楽を聴く手段のメインはまだまだCDを買うことであった。この年のオリコン年間アルバムランキングを見ると、上位実に22位までが推定売上数100万枚を超えている。上位2枚は宇多田ヒカルの2ndアルバム「Distance」と浜崎あゆみのベストアルバム「A BEST」で、共に400万枚を超えている。しかも、これらは同じ3月28日に発売されたのだった。

他にもなかなか充実していた2001年のJ-POPの世界を、多分に個人的なフィルターがかかっている20曲と共に追体験してみたい。

Cornelius/Drop

アルバム「POINT」からの先行シングルでオリコン週間シングルランキングで最高13位を記録。自然音のようなものや楽器の演奏やドラムビートにボーカルと様々なサウンドの断片をコラージュ的に編集した実験性の高い音楽でありながら、ミニマルなポップ・ソングとしてもしっかり成立している。驚きと刺激と楽しさがめくるめく約5分間。

くるり/ばらの花

バンドサウンドにテクノ的な要素も取り入れた意欲作「TEAM ROCK」からの先行シングルで、オリコン週間シングルランキングで最高20位を記録。文学的なロックの新たな可能性を提示したともいえる楽曲で人気は高く、矢野顕子、南佳孝、奥田民生といったベテランを含め、数多くのアーティストによってカバーされている。コーラスでSUPERCARのフルカワミキが参加している。

BUMP OF CHICKEN/天体観測

千葉県佐倉市の幼なじみによって結成されたロック・バンドのメジャーデビューシングルで、オリコン週間シングルランキングで最高3位のヒットを記録した。文学性の高いギター・ロックは当時の日本のメインストリームからしてみると、けして追い風に乗れるタイプではなかったように思える。しかもノンタイアップだったのだから、いかに純粋に楽曲の良さがアピールしたかを物語っているようでもある。この曲にインスパイアされて、後に同タイトルのテレビドラマが制作されている。

m-flo/come again

当時、イギリスで流行していたダンス・ミュージックのサブジャンルである2ステップを取り入れた点で、ひじょうに画期的な楽曲である。それでいて、けしてマニアックで敷居が高いものにはならず、女性の切ない恋愛をテーマにした大衆的なポップ・ミュージックとしても広く支持された。オリコン週間シングルランキングでは、最高4位を記録している。

砂原良徳/LOVEBEAT

電気グルーヴ脱退後にリリースされたソロアルバムのタイトルトラックである。小学生の頃に聴いたYMOに影響を受け、音楽をつくりはじめてから日本のエレクトリック・ダンス・ミュージックの進化と共にあり、モンド/ラウンジ感覚も心地よい「LOVEBEAT」は一つの到達点ともいえる。

東京スカパラダイスオーケストラ/めくれたオレンジ

80年代から活動するベテランのスカバンドが、この年から翌年にかけてゲストボーカリストを迎えたシングルを3枚続けてリリースした。その第1弾であるこの曲にはオリジナル・ラヴの田島貴男がボーカリストとして参加し、バンド自体のみならず日本のポップスの新たな可能性を提示した。オリコン週間シングルランキングでの最高位は35位であった。

KIRINJI/雨は毛布のように

このネオ・シティ・ポップとでも呼ぶべき都会的な大人のポップスは今日でも十分通用する、というかどちらかというと今日だからこそという方が正確で、当時は異端だった印象が強い。まさに時代が追いついた、とでもいうべきだろうか。数ある日本のレイン・ソングの中でも屈指のクオリティーではないだろうか。当時のオリコン週間シングルランキングでの最高位は42位であった。

GRAPEVINE/風待ち

「ロッキン・オンJAPAN」の読者が好みそうなバンドの典型というような印象もあったGRAPEVINEが、大人になっていくことなどについて歌った、リスナーによってはひじょうに刺さるタイプのロック・バラード。そして、名曲。オリコン週間シングルランキングでは最高19位を記録した。

椎名林檎/真夜中は純潔

アレンジャー、亀田誠治の元を離れて初の作品で、東京スカパラダイスオーケストラがアレンジと演奏で参加している。オリコン週間シングルランキングでは最高2位を記録し、この後で椎名林檎は出産にともなう活動休止に入った。

宇多田ヒカル/Traveling

宇多田ヒカルの9枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングで2週連続1位を記録した。アップテンポでエレクトロニック・ダンス・ミュージック的でもあるサウンドは、新機軸を感じさせた。CGアニメーションを用いた近未来的なミュージック・ビデオも話題になった。

モーニング娘。/ザ☆ピ~ス!

国民的アイドルグループの名を欲しいままにしていた頃のモーニング娘。のシングルで、オリコン週間シングルランキングで1位に輝いた。選挙の日に投票に行って外食するという歌詞が有名だが、実際に発売時、参議院議員選挙が行われていた。終わりそうで終わらないエンディングも印象に残る。この年の年間シングルランキングには、タンポポ、プッチモニの他、3人娘などモーニング娘。派生ユニットが多数ランクインしていて勢いを感じさせられる。

スガシカオ/夜空ノムコウ

スガシカオが1998年に歌詞を提供したSMAPのヒット曲をセルフカバーしたバージョンで、これを収録したベストアルバム「Sugarless」はオリコン週間アルバムランキングで1位に輝いた。シングル・カットはされていないものの、J-WAVEのカウントダウン番組「TOKIO HOT 100」で1位になるなど、よく聴かれていたようである。

竹内まりや/毎日がスペシャル

竹内まりやのオリジナルとしては9年ぶりとなるアルバム「Bon Appetit!」からシングル・カットされ、オリコン週間シングルランキングでの最高位は40位であった。テレビで重い病を患っている患者が、朝、起きた時に息をしているというだけでしあわせを感じる、というようなことをいっていたのを観て、書いた曲だという。

スピッツ/遥か

テレビドラマ「Love Story」の主題歌で、オリコン週間シングルランキングで最高3位を記録した。スピッツの数あるシングル曲の中で、それ程目立つ方ではないような気もするが、このバンドの夢と現との間を行き来するかのような良いところがじんわりとにじみ出た楽曲のような気がする。

RIP SLYME/雑念エンタテインメント

日本語ラップの大衆化に果たした役割はひじょうに大きいと思われるRIP SLYMEのシングルで、オリコン週間シングルランキングでは初のトップ10入りとなる最高8位を記録した。サンプリングネタがブラッド・スウェット・アンド・ティアーズというのもユニークで良かった。

the brilliant green/THE LUCKY STAR ☆☆☆

元旦にリリースされ、オリコン週間アルバムランキングで最高2位を記録した「Los Angeles」の1曲目に収録されていた曲で、シングル・カットはされていない。元々、洋楽志向が強いバンドだが、この曲ではオルタナティヴ・ロックぶりとJ-POP的大衆性とのバランスが絶妙で素晴らしい。ボーカルの川瀬智子はこの年から、80年代エレポップ的なソロプロジェクト、Tommy february6も始動する。

aiko/初恋

メジャー契約後7枚目のシングルで、オリコン週間シングルランキングでは最高3位を記録した。メインストリームのJ-POP的なキャッチーさを持ちつつも、シンガー・ソングライターとしての才能、表現力は非凡きわまりない。その素晴らしさはメジャーデビュー3年目の途中にリリースされたこの曲にもコンパクトに収められているが、満足度はひじょうに高い。

平井堅/KISS OF LIFE

R&Bシンガーとして、実に繊細な表現力を持ったユニークな存在である。この曲ではコンテンポラリーなサウンドと合わさることによって、そのボーカルの魅力が理想的なかたちで生かされているように思える。「月9」ドラマ「ラブ・レボリューション」主題歌で、オリコン週間シングルランキングでは最高2位を記録した。

CHEMISTRY/PIECES OF A DREAM

モーニング娘。も輩出したオーディション番組「ASAYAN」出身のR&Bデュオ、CHEMISTRYのデビュー・シングルで、オリコン週間シングルランキングで1位、年間シングルランキングで3位の大ヒットを記録した。当時、あまりにも流行りすぎて、実はじっくりちゃんと聴いていなかったのだが、確かにこれはよくできている。プロデュースを松尾”KC”潔が手がけている。

桑田佳祐/波乗りジョニー

コカ・コーラのCMソングでサーファーものという実にベタなコンセプト、ジャケットのイラストは山下達郎「FOR YOU」や雑誌「FM STATION」でお馴染みの鈴木英人である。ソロ・アーティストとしては初のミリオンセラーで、オリコン週間シングルランキングでは2週連続1位を記録した。桑田佳祐はこの年、「白い恋人達」でも1位に輝きいた。前の年にサザンオールスターズ「TSUNAMI」が大ヒットしたことなどにより、デビューから20年以上にして、新たな世代にもファン層が広がっているように思えた。

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