青木千春(WHY@DOLL)「Hello Hello Hello」について

年始早々からここで取り上げたい曲とかアルバムとか飲食店とかがあるにはあるのだが、気まぐれに思いついたネタを拾っているうちに時は過ぎ、気がつけば1月21日である(いまこの文章をキーボードで打っている時点ではまだ20日だが)。

それ以外にも個人的にいろいろバタバタとせわしなく、お兄さんはもう心臓ドキドキだぞ、という感じなのだが、お前さすがにお兄さんというのにはもうすでに無理がある年齢だろうという話はさておいて、実際にごく一部ではリアルにそう呼ばれているのだから仕方がない(私信)。

なこたーどうでもよくて、1月21日といえば1982年に松田聖子の「赤いスイートピー」が発売された日である。あの「煙草の匂いのシャツにそっと寄りそうから」というのは実に上手いなと思ったねえ。はっぴいえんどなんて(たぶん)まだ知らなかったけど、この歌詞を書いている松本隆というのはものすごい才能の持ち主だと思ったのである。

それはさておき、いろいろ端折ると、1月21日はWHY@DOLLというボーカル&ダンスユニットのリーダーとして活動されていた青木千春さんの誕生日でもあるということで、要はそのことに触れぬわけには個人的にいかないということである。

まず私は2016年ぐらいの段階で現役のアイドルというのはハロー!プロジェクトとAKB48系列ぐらいしか知らなかったわけだが、たまたま新潟のローカルアイドルで、実はすでに活動歴が12年を超えていたというNegiccoの音楽を知り、これはとても良いのではないかという感じになっていたのである。それからいろいろ聴いていくうちに、いまどきのアイドルポップスというのは多様化、細分化しているようなところがあるけれども、その一つの潮流にディスコ・ファンクとかシティ・ポップ的なものがあり、それを私はわりと好きだなと感じていた。

それで、その年の秋にWHY@DOLLという当時は読み方もよく知らなかった(ちなみに、「ホワイドール」と読むのである)ユニットの「菫アイオライト」というこれもまた即座には正しく読めなかったタイトルの曲が少し話題になっていて、聴いてみるととても良いのでしばらくヘビーローテーションしていた。ちなみにこの曲をそれから何百回となく聴いているとは思うのだが、いまだにまったく飽きることがない。ライブで聴いた回数ということになると、おそらくこれまでの人生で最も多く、その記録はおそらく破られないまま一生を終える可能性が高いと言わざるをえない。

楽曲がものすごくカッコいいのだが、ボーカルがキュートというそのギャップがたまらなく良い。基本的にポジティヴなイメージの曲なのだが、一部、メロウに感じられるところもあり、これが楽曲に深みをあたえているなどと思っていたら、後にスティーヴィー・ワンダーの曲からの影響が実は反映されていたことを知り、なるほど確かにこれはそうだ、と膝を打ったりもした。

曲はものすごくカッコいいのに、ビデオはゆるふわな料理映像というのも狙っているのかいないのか、何だかシュールな感じで気になったのだ。

翌年の2月に「キミはSteady」というシングルが出て、カップリングの「ラブ・ストーリーは週末に」という曲がシティ・ポップを狙ったと思われるのだが、サックスが泣きまくっていたりと、そのトゥーマッチさに思わず笑ってしまうのだが、聴けば聴くほどどんどんよくなっていくタイプの大名曲であり、時々やっている「現時点で個人的に歴代最も好きな曲ランキング」的なやつで何度か1位になってすらいる。

それはそうとして、当時、個人的にとても悲しい事件があり、ものすごく落ち込んだ状態が数ヶ月間続いた。もうここから本格的に回復できることは二度とは無いのではないかと思いつつ、真夜中の公園でサニーデイ・サービス「桜 super love」を聴きながらストロング缶チューハイを飲んでボロ泣きするなど、ひじょうにヤバめな事態を迎えていたとはいえる。

それでも聴いた音楽の感想のようなものを書いては発表をするというようなことはやっていて、WHY@DOLLのアルバムも8月の初めに出たので聴いてみたところかなり良かったので、その感想のようなものを書いた。更新した旨はTwitterでも知らせていたのだが、弱小アカウントなので反応はほぼ無い。しかし、記事を上げてからそれほど経っていない真夜中にリーダー(ということも当時はまだ知らなかったけれども)本人から「いいね」が付いて、いまのご時世、本物のアイドルからこういうこともあるのか、と新鮮な驚きがあった。

翌日、明大前で会議だったのだが、真夜中に私のような素人が書いた感想のようなものに「いいね」を付けるなど健気な活動をしていた現役アイドルのことを思い出し、適当に検索すると、ちょうどその日の夜に渋谷のヴィレッジヴァンガードでイベントがあるという。渋谷にヴィレッジヴァンガードなんてあっただろうかと調べてみたところ、以前はブックファーストでその前は旭屋書店だったところだということが分かった。

正直、アイドルのライブにはそれほど期待はしていなくて、それでもあの大好きな「菫アイオライト」のパフォーマンスを一度ぐらいなら生で観るのもいいかも、ぐらいの気持ちで行ってみたのだ。無料観覧だったが、内容をとても気に入っていたのでCDも買った。サイン会にも参加できるらしい。とはいえ、現役アイドルと話す内容などは皆無なのだが、ちょうどWHY@DOLLは札幌出身だという情報は得ていたので、同じ北海道出身なので応援しています、的なことを言えばなんとか持つだろうぐらいに考えていた。

さて、ライブがはじまったのだが、動きにひじょうにキレがあり、歌もこれはちゃんと生歌なのではないか。それぐらいのことで感激するぐらい、私はアイドルにはひじょうに疎かったわけだが、そのパフォーマンスに合わせて、ほとんどが常連と思われるファンの方々が振り付けを真似しているのにも驚かされた。

曲もパフォーマンスもひじょうにカッコいいのだが、MCになると脱力して天然なキャラクターがまたとても良い。その日はなぜか1枚CDを買っただけで、握手会とサイン会に参加できて、2回もその機会があった上に、アイドルの握手会やサイン会というと一瞬にして終わって、ファンがまだ話し足りないのだが係員のような人に無理やり引き剝がされるというような光景を想像したものの、みんなわりとゆっくり話している。しかも、どうやら圧倒的に常連のような人たちが多い。

これはもう帰った方がいいのではないかとも感じたのだが、せっかくCDも買ったのでとりあえず参加してみたところ、さすがは百戦錬磨というか、こちらから話すことに慣れていないと見るや、逆に話しかけてくれるというサービス精神。WHY@DOLLを観るために渋谷に来たのかと聞かれたのでその通りだと本当のことを答えたのだが、なぜだかなかなか信じてもらえなかった。

そういった訳なので、当初、準備していた同じ北海道出身者なので応援していますネタも使わないまま最後のターンになっていた。それで、最後にさすがに切り出したのだが、北海道のどこですか、と聞かれたので旭川だと答えた。北海道でも札幌は大都会であり、ましてやでっかいどう北海道というぐらいで、距離が遠かったりもして、それほど地元意識のようなものは意外にもなかったりする。

それで、札幌出身者からすると旭川という地名が出た時点でトーンダウンするだろうという気分で話したところ、旭川のどの辺りかとかわりと実家の場所が特定できるレベルのローカルな話題になり、気がつくと私は渋谷のど真ん中で現役アイドルと何を話しているのだ、と愉快な気分になっていたのだった。

それからライブやイベントに行ったりしていくうちに、名乗らなくても名前を書いてくれるようになったり、私が書いたライブの感想のような文章をメンバーのママたちが読んで盛り上がっているとか、しばらく行かなくなってもちろんライブの感想のようなものも書かなくなるとママに心配されたとか、いろいろ面白いことになってはいたのだが、ああいったこともおそらく最初で最後なのだろうな、という気はする。

そのうち、春から夏にかけて感じていた落ち込んだ気分はすっかり消えて無くなっていた。夢中になれるものが見つかったからだろう。実にありふれているといえばそう言えるし、どうかしているといえばそうとも言える。

その時、私が買った「WHY@DOLL」というCDには「Hello Hello Hello」という曲が入っていて、これがまたとても良いのだ。ディスコ・ファンクとかシティ・ポップのイメージが強いが実はこのアルバムではいろいろな音楽をやっていて、この曲などはカントリー音楽のようなところもある。WHY@DOLLのリーダー、青木千春さんのボーカルはアイドルらしくキュートなのだが、わざとかわいく歌っているとかではなく、ナチュラルにかわいい天性のものである。これが浦谷はるなさんのクールなボーカルと合わさることによって、素晴らしいワールドが現出するわけだが、「Hello Hello Hello」は青木千春さんのソロ曲である。

ユニットの曲ではカッコいいサウンドにキュートなボーカルのギャップがたまらない魅力となっているのだが、この曲においてはサウンドもナチュラルでオーガニックであるため、この素的なボーカルと合わさることによって、ヘヴンリーなヒーリング効果を実現している。

この曲をはじめ、WHY@DOLLの作品はいずれもポップ・ミュージック史に燦然と輝くものであると信じて疑わないわけではあるが、それゆえにこの1月21日というのはひじょうに重要な日なのである。

そして、ベビースターラーメンが大好きだった青木千春さんは最近、ローソンで販売されているベビースターラーメン入りおにぎりだししょうゆ味を食べられただろうか、ということが気がかりではある。

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