RCサクセションの特集を「レコード・コレクターズ」が組んでいたので買って読んでみた。

RCサクセションのアルバム「PLEASE」のジャケット写真を思わせもする表紙の「レコード・コレクターズ」が書店の音楽雑誌コーナーに陳列されていることは昨年からなんとなく知っていた。しかし、いろいろ忙しすぎたのでスルーしていたのだが、気がつくといつの間にか次の号が出ているという事態にもなりかねないので、とりあえず買っておいた。

そして、読んだ。これは良い特集だ。雑誌の特集だったのだが、すべて読むのに2時間ぐらいかかった。ボリュームにして75ページである。いまここに書くために実際にページ数を数えてみたのだが、そんなにあったのかと驚かされたり、それならばこれだけ時間がかかるのも仕方がないと思わされた。

まず「RCサクセション ヒストリー」をリアルタイムでRCサクセションについての文章をたくさん書いていて、非常に馴染みもある今井智子が書いている時点でひじょうに安心ができる。当時、10代や20代のファンとして知っていたあんなことやこんなことがコンパクトにまとめられていて、ひじょうに心地よい。

続いて松永良平が「バンドマン、歌ってよ」というタイトルで、RCサクセションの音楽論を書いている。RCサクセションの音楽というのは、当時、80年代に中学生や高校生だった世代のファンにとってあまりにも重要であり、伝説化されていることもあって、それ以降の世代の人たちにフラットに伝わりにくいと感じるところもあるし、それには仕方がないと思われるところもあるように思える。

そこを単なるノスタルジーではなく、現在の新しい音楽にも現役バリバリな感覚で書かれているところがとても面白かった。それと、わりと印象が希薄になりつつあった活動休止直前、ラストアルバムの「Baby a Go Go」の頃についてわりとしっかりと書かれているところもとても良かった。

RCサクセションと深いかかわりを持ち、「Baby a Go Go」ではプロデューサーも務めた春日博文のインタヴューもひじょうに貴重なものである。

そして、「レコード・コレクターズ」お得意のアルバム・レヴュー的な記事だが、これも1枚1枚について丁寧に書かれている。個人的にはまだRCサクセションのことを知らなかった頃や知りはじめた頃、貪るように聴きまくっていてライヴにも行き、「ロッキング・オンJAPAN」の2万字インタヴューを熟読していた頃や、それまでと比べてあまり熱心には聴かなくなった頃など、その時々の自分自身の状況を思い出したりしながら、このアルバムはあの店でこういう状況で買って、こんなふうに聴いていたなとか、そういうことを思い出しながら読んだりできてかなり楽しかった。

それでいて資料的な価値もわりと高いのではないだろうか。特にその後のページでシングルだとか編集盤のヴァージョン違いなどについて言及されているのも、とてもためになる。

ロンドンレコードが無くなって東芝EMIに移籍した頃に、松山千春などのNEWSレコードから「EPLP2」をはじめとする編集盤などが勝手にリリースされて、忌野清志郎が怒り狂っていたことを思い出したりもした。なぜか紙製のパンティーが付属しているというよく分からないアルバムだった、あれは(忌野清志郎が不買を訴えかけていたにもかかわらず、持っていないシングル曲などが入ってもいたので買っていたのだった)。

あと、フォーク編成だった頃の楽曲を集めた「ハード・フォーク・サクセション」も当時のファンにとってはひじょうに重要だったわけだが、それについても触れられている。

それから、「春一番」というライヴイヴェントを主催していたという、福岡風太という方のインタヴューがとにかくもうとても良い。RCサクセションが活動を休止し、忌野清志郎がソロ・アーティストになってからの交流について語られている。正直、それ以降、私はあまり熱心なリスナーではなかったのだが、このインタヴューはとても良かった。関西弁で語られる当時の思い出の数々は、音楽について書かれた文章だけでは味わえないが、当時、明らかにそこも好きであった忌野清志郎の人間味のようなものをも心に甦らせ、あの笑顔が浮かんでくるかのようなレベルである。

忌野清志郎、仲井戸麗市をはじめとする各メンバーのソロや参加作品についての解説や、それ以外の関連人物についての説明も含め、ひじょうに充実している。

音楽について書かれた優れた文章の多くがそうであるように、RCサクセションの音楽が聴きたくなったので、以前に作ったシングル・コレクションでもこだわりセレクションでもない、最も客観的なヤング・パーソンズ・ガイド的選曲なのではないかと思える「The Essential RC SUCCESSION」というプレイリストを途中から再生しながら読んだし、読み終えたいまもまだ聴き続けている。

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